刑務官は「人生を変える仕事」と知った。
高校生の時、父の勧めもあって公務員になりたいと考えるようになりました。けれど、具体的にどんな仕事がしたいのかという明確なイメージはまだありませんでした。
学部選びでは、経営学部と法学部で迷いましたが、北海学園大学の法学部は卒業後に公務員として働く人が多いと知って、法学部を受験しました。
1年次には、答えのないテーマについてみんなで話し合う基礎ゼミを受講しました。ある日の授業で「少年の死刑」が取り上げられました。最初、僕は死刑賛成派でした。被害者遺族の気持ちを考えると、やっぱり加害者は命をもって償うべきだと思ったからです。
ところが判例を調べていくうちに、一時の過ちで罪を犯してしまった人もいるし、更生できる可能性があるならその機会を与えるべきではないかと考えるようになりました。
こうした経験を通して、法律学の奥深さに強く惹かれるようになりました。

2年次からは、刑事訴訟法や少年法をテーマにした飯野海彦先生のゼミに所属しています。夏の合宿では道内の刑務所を訪問しました。実際に施設内を見学し、刑務官が働く姿を見るうちに刑務官の仕事に興味を持つようになりました。
そんな中、OBの紹介で現職の刑務官と直接お話しする機会がありました。その方によると、受刑者は世間からは“悪者”と見られ、彼らのその後の人生に関心を抱く人はほとんどいません。けれども刑務官は、出所後の社会復帰をサポートし、受刑者一人ひとりの人生を良い方向に変えられる最後の砦(とりで)だと聞いて、意義のある仕事だと思いました。
“立ち直り”を支える人になりたい。
2025年6月、これまでの懲役刑と禁固刑が一本化され、新たに拘禁刑という刑罰が誕生しました。改正前の懲役刑では労働などの刑務作業が義務づけられていましたが、禁固刑にはその義務はありませんでした。拘禁刑では、刑務作業を行わせるかどうかを受刑者ごとに決め、個々の特性に応じた更生プログラムを実施することができます。
つまり、この法改正によって、刑務所に受刑者を収容する意味合いは“懲らしめ”から、出所後の“立ち直り”を重視する方向にシフトしました。背景には、出所後に再び罪を犯してしまうケースが多い現状があります。拘禁刑の導入によって、立ち直りに向けた作業や更生プログラム、出所後の就職サポートなどに、より多くの時間を割けるようになりました。
僕自身も、もし刑務官になれたら、更生プログラムの実施に携わる仕事がしたいと思っています。受刑者に寄り添いながら、なぜ罪を犯してしまうか、その原因や罪を犯さないための方法を自分なりに見つけられたらと思います。


大学に入る前は、将来自分が何をやりたいのかを具体的にイメージすることはできませんでした。でも、授業で判例を調べ、さまざまな考え方に触れる中で、視野が広がったように感じます。もし経営学部に進んでいたら、また違ったものを見つけていたかもしれません。法学部を選び、学びを通して見つけたこの道に向けて、これからも頑張ります。
