経済学科

買い物も大学選びも その行動は経済学と つながっている。

経済学部 経済学科 比嘉 一仁 准教授

応用ミクロ計量経済学の分野で家計の経済行動を研究する比嘉先生は、「一個人・一家計のミクロな世界が、一国を形成するマクロな世界につながっている」と話します。つまり、私たちが店で買い物をする行動や、この記事を読んで大学を検討する皆さんの行動も、経済学の範疇(はんちゅう)。経済学とは自分自身の分析につながる学びと言えます。

実は、身近な場所で
応用されている経済学。

——先生が研究する応用ミクロ計量経済学について教えてください。

ミクロ経済学の中でも、主に家計の経済行動を研究しています。家計の経済行動とは、個人または家計が行う消費や就業などのさまざまな活動を指します。一般的に、人は労働などを通して収入を得て、その中で消費を行い、一部は将来のために貯蓄します。一個人・一家計はちっぽけな存在に見えるかもしれませんが、ミクロな個人・家計が集まって一国経済を形成するマクロな世界をつくり上げていると考えれば、重要な存在だと気づくでしょう。ミクロな家計の経済行動を分析することでマクロ経済の分析を可能とする点が、この研究の面白さだと思います。

——どのような手法で研究しているのですか?

家計の経済行動を分析するために、政府や研究機関などの実証研究データを用います。経済学の研究には、物事の関係性や本質などを数学的に説明する理論と呼ばれる分野があります。理論も面白い研究ですが、私は数学的にキレイに説明される理論が現実のデータをどう説明できるのか、また現実のデータから理論でいわれることが正しいのかを分析し、理論と現実のデータに相違が出た場合は実証可能な関数を導き出す方に、より面白さを感じながら研究に取り組んでいます。

——社会の中でどのように応用されるのでしょうか。

家計の経済行動とデータ分析は、皆さんの生活と深く関係しています。例えば、オンラインショッピングを利用した際に「この商品を検索・購入した人は、これらの商品も検索・購入しています」といったオススメ商品の提示を受けたことがありませんか? また、動画や映画のサブスクなどでも、関連動画や関連する映画が出てくるのではないでしょうか。これらは利用したサイトが、年齢や住んでいる地域、性別などの情報をデータ解析し、ユーザーの消費行動を促そうしているものです。これらはビジネス的要素が強めですが、経済学の視点では、そもそも個人や家計はどのように消費を行っているのか、どのように将来を考えて現在の行動を決定するのかという具合に捉えます。例えば、皆さんが学校帰りにコンビニに寄ってお弁当やお菓子などを買う場合、店に何の商品が並んでいるのか、一日にいくら使えるのかといったさまざまな条件の中から自分の喜びが一番高くなる選択をするはずで、経済学ではこれを効用関数と呼んでいます。このように経済学は人間の分析、つまり自分自身の分析につながる学びと言えるでしょう。

家計の経済行動には
現在も未来も影響する。

——高校生の大学選びも、経済学につながっているんですね。

将来を考えて現在の行動を決定するという点において、今まさにこれを読んでいる受験生の皆さん自身が当てはまります。皆さんはさまざまな考えや希望を持って大学進学を目指し、多くの人は、大学を卒業して就職した方が高収入を得られると期待しているのではないでしょうか。一方で、大学に進学すると学費がかかるうえに、高校を卒業してすぐ働いた場合に得られたであろう収入は得られないとも考えられます。その費用を経済学では機会費用といいますが、その金額をどのように考えるか、それを踏まえたうえでも大学に進学するのかは、労働経済学という分野における研究の一つとなっています。家計の経済行動は、現在だけでなく、将来にもつながっていることが分かっていただけたでしょうか。

——高校生の皆さんに伝えたいことはありますか?

文系と思われがちな経済学部ですが、講義では数学の知識が必要になることもあります。私が担当する「ミクロ経済学I・II」の講義では関数や微分を多用しますし、関数のグラフを使って説明することも多々あります。統計学関連の講義は、数列や積分、行列などの知識があると理解しやすくなるでしょう。高度な内容の専門書を読んで理解するには国語の読解力、卒業論文の執筆時には英語の書籍・論文を読む力も必要です。大学の講義は高校生までに修得した学習知識がベースになりますから、受験のためのテクニックだけではなく、高校で学んでいる教科の本質をしっかり理解し、身につけてほしいと思います。