PROJECT
岩田醸造株式会社

北海道の味噌作りから学ぶ、発酵の世界。

2026.01.16 UP

INTRODUCTION

発酵の現場へ。
学びが仕事につながる瞬間を探して

発酵への理解を深め、大学で学ぶ生命工学の知識が食品づくりの現場でどう活かされているのかを知りたい。そんな思いから、岩田醸造さんの味噌工場を訪問しました。微生物と向き合う現場には、大学の講義だけでは出会えない発見がありました。

取材メンバー
  • 工学部
    生命工学科 2年
    後藤 紗季
  • 工学部
    電子情報工学科 2年
    小林 大希
  • 1部 法学部
    法律学科 2年
    榎本 勝広

北海道発を世界へ。
味噌の魅力と、

発酵の力を探る。

みなさん、こんにちは。
北海学園大学 工学部 生命工学科2年の後藤 紗季です。

寒冷な気候の中で、人々の暮らしと健康を支えてきた保存食「味噌」。北海道の食文化を語るうえで欠かせない存在だと考えています。食品開発に興味を持ち、生命工学を学ぶ私は、味噌ラーメン専門店でのアルバイトをきっかけに、さらに発酵食品の奥深さに魅了されていきました。

味噌は古く、平安・鎌倉時代には貴族や武士の食文化として普及し、江戸時代には地域ごとに個性豊かな味が生まれたと言われています。明治以降は日本の食卓に欠かせない存在となり、今では世界で注目される発酵食品です。

では、なぜ地域によってこれほど味が違うのでしょうか。
その答えを探るため、北海道の老舗蔵元・岩田醸造株式会社さんを訪ね、味噌づくりの現場を見学し、そのこだわりや北海道ならではの特徴について取材しました。

f味噌の起源は中国の発酵食品「醤(ひしお)」に遡ります。中国の醤が日本に伝わった後、日本で独自に発展し、時代や風土に合わせて多様な味噌が生まれました。味噌は長い時間をかけて、日本の暮らしとともに歩んできた食品なのだと実感しました。北海道の味噌文化も、開拓期の食生活の変遷とともに成長してきました。

私は昔から、赤味噌と白味噌の色の違いに疑問を感じていました。
原料や作り方は同じなのに、色が違うだけで味に違いが出るのでしょうか。その理由を知りたいと考え、味噌作りのプロ、岩田醸造さんに教えていただきました。

味噌は、大豆に麹を加えて塩と共に発酵・熟成させることで生まれます。熟成の中でメイラード反応*が起き、色が深くなり、コクや香りも増します。色や味は違えど、もともとの味噌は同じもの。赤味噌は蒸す工程、白味噌は煮る工程で味が変わります。また、麹菌や原材料の違いにより、味の方向性が大きく変化します。
岩田醸造さんの味噌は、代々受け継がれる技術で味が守られています。その味や品質を保つために、出荷前には必ず杜氏(とうじ)が味のチェックをしています。ここだけは「人」でしかできないこと。生命工学を学ぶ者として、その味を「微生物がつくる」ことに改めて感動しました。

*メイラード反応:微生物(麹菌)が分解してできた『アミノ酸』と『糖』が、数ヶ月かけて自然に結合し、美味しそうな茶色と香ばしい香りに変身する化学反応のこと。この反応が進むほど、風味に深みとコクが増していく。

味噌には乳酸菌や酵母など発酵由来の成分が多く含まれ、がんのリスク低減が期待されるなど、機能性に優れた食品としても注目されています。
岩田醸造さんで働いている人の中には、「ここで働くようになってから、味噌汁を飲む習慣がつくようになり、風邪をひきづらくなってきた」という人もいらっしゃいました。
普段ラーメン店で提供している味噌にも、身体を支える大きな力が秘められていると知り、なんだか誇らしい気持ちになりました。

今回の取材で、味噌が単なる調味料ではなく、歴史、科学、職人技が結集した“文化”であることに気づきました。北海道の味噌は、地方から全国へ、そして世界へと広がり続けています。私も学びを重ね、いつか食品開発のなかで「もっと多くの人に味噌の魅力を届けたい」と強く思いました。

最後に岩田醸造さんからメッセージをいただきました。
「味噌は日本にとって大事な調味料です。その根本をたどると微生物の働きである発酵が重要なポイントです。発酵が気になる、食べることが好き、地域の食に関わりたいなど、どんなきっかけでもこの業界について興味を持ってくれるとうれしいです。」

今回は取材にご協力いただいた岩田醸造さん、本当にありがとうございました。現場で大切に受け継がれてきた想いや、味噌の奥深さに触れることができ、とても感動しました。岩田醸造さんの魅力を自分なりに伝えていきたいと思います。