INTRODUCTION
私たちの学校生活の裏側には、
学校事務職員のサポートがあった
教室にあるカーテンや机、毎日何気なく使っている備品たち。私たちは学校が「毎日当たり前にそこにある場所」だと思いがちですが、その風景の裏側には、学校運営を支える事務職員さんの細やかな工夫と努力がありました。
今回は、「学校を支える仕事」に興味を持った学生が、自身の母校である北海道札幌白石高等学校を訪問し、これまで知ることのなかった学校事務の仕事についてお話を伺いました。
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経済学部1部
経済学科
3年
伊藤綾音
「縁の下の力持ち」の見えない努力。
みなさん、こんにちは。
北海学園大学経済学部1部経済学科 3年 伊藤綾音です。
私は学校という環境が大好きで、小・中・高と毎日学校に行くのが楽しみでした。 「将来は学校で働き、教育を円滑にする手助けがしたい」と考えて学校事務という仕事に興味を持ったものの、実際の業務内容や、働く中での苦労や楽しさについては全く知りませんでした。
そこで今回、私が所属する広報サークル「ぴある」の企画として、私の母校である北海道札幌白石高等学校へ取材に伺う機会をいただきました。お話を伺ったのは、北海学園大学卒業生の山田さんです。日常の業務内容から、学校事務職員になるまでの道のり、そして現場で感じるリアルなやりがいまで、知られざる学校事務の裏側をお届けします。

計画的な準備が未来を拓く。
学校事務になるまでの道のり。
まずは、山田さんが学校事務の職に就くまでの道のりについてお聞きしました。
Q.学校事務職員になるまでの過程を教えてください。
山田さん「大学生のとき、大学の事務職員の方々の働く姿を見て、学校事務という職業に興味を持ちました。採用試験(公務員試験)に向けては、約一年前から少しずつ勉強を始め、直前の1か月前からは本腰を入れて勉強していました。大学が実施している公務員ガイダンスには、ぜひ参加することをおすすめします。
私は現在、道職員の『教育行政』という枠で任用されています。数年前のことなので今とは異なる部分もあるかと思いますが、当時は大学4年生の4月に願書を提出し、5月に1次試験、6月に小論文と面接*、7月に合格発表、翌年3月に諸手続きと任用地の連絡があり、4月1日付けで採用というスケジュールでした。数ある教育機関の中で高校を選んだ理由は、私自身が中高一貫校に通っていたことから高校という環境が好きで、自分に合っていると考えたからです。採用にあたって特に必須となる検定や資格はありません。しいて言うのであれば、自動車免許があれば概ね問題ないと思います。」
*2026年現在、試験内容は当時と異なります。
道職員の「教育行政」の採用枠は非常に狭く、筆記試験の点数はもちろん、面接という高い壁を乗り越える必要があります。そんな難関を突破した山田さんが、公務員試験の勉強を1年前から計画的に進めていたお話を伺い、早い段階からの準備の大切さを改めて実感しました。具体的な合格までの過程は、今後の進路を考えるうえで非常に勉強になります。

給与計算からカーテンの購入契約まで。
学校を裏側からサポートする仕事。
次に、学校事務という仕事が実際にはどんな業務を行っているのかを深掘りしていきます。
Q.具体的にはどのような業務を担当されているのですか?
山田さん「学校事務の仕事は地域や自治体によっても異なりますが、普通高校の場合は庶務・収入・給与・旅費・物品・契約・財産・人事・団体などが主な業務です。私は現在、『給与』と『物品』の2つを担当しています。ちなみに、この担当は現在の職場では毎年年度初めにローテーションされます。
『給与』の仕事は、誰にいくら支給するかという直接的なお金の管理だけでなく、児童手当や扶養手当の書類集め、土日に部活動指導を行った先生方の手当認定手続き、年末調整の確認や資料の手直しなど多岐にわたります。『物品』の仕事では、学校で使用する備品や消耗品の購入を行います。業者さんとのやり取りが多く、学校内だけで完結しないため、前もって物品の流れや消費量を予測しておく必要があります。最近の大きな仕事では、教室のカーテンの購入契約を行いました。
こうした日常業務と並行して、先生方からの質問対応や電話・窓口対応を行います。時期によっては質問の電話や窓口対応で仕事が立て込む日もあるので、常に期日に余裕を持って仕事を組み立てるよう心がけています。」

生徒と直接関わる先生方が、日々滞りなく授業や部活に集中できるように、その疑問を裏で解消していく。学校事務職員の方々は、まさに“学校運営の要”なのだとお話を聞いて深く理解できました。
普段、私たちの目には見えにくいかもしれませんが、教室にあるカーテン、机や椅子、黒板消しにいたるまで、すべて事務職員のみなさんが業者さんへ発注し、環境を整えてくれています。生徒と直接触れ合う機会は少なくても、先生や保護者、外部の業者さんを通じて、間接的に私たちの学びの環境を支えてくれています。
仕事の幅が非常に広く、予期せぬ対応で自分の業務が進まない日があっても、全てに迅速かつ的確に答えるためには、制度や仕組みに関する圧倒的な知識量が求められます。そのプレッシャーの中で「日付に余裕をもってタスクをこなす力」を実践されている山田さんの姿は、私たち学生にとっても、日頃の計画性を見つめ直すとても良いきっかけになりました。

「怖くない事務室」と「学校の顔」。
幅広い業務を担当されるなかで、山田さんが大切にしている仕事への姿勢について伺いました。
Q.日々の仕事の中で苦労していること、心がけていることは何ですか?
山田さん「実は、毎年のように国の制度が変わるんです。そのため、先生方からの質問にいつでも正しく答えられるよう、普段から国税庁のホームページなどから情報収集して、常に最新の制度や学校での処理の流れをアップデートしています。特に給与は職員の生活に直結する重要な部分です。変更の頻度も高いため、間違いのないよう対応し、速やかに資料を配布することを意識しています。また、もしその場でわからないことがあっても曖昧な返事はせず、『確認してすぐにお伝えします』とはっきりと伝えることを心がけています。毎年9月頃から年末にかけての年末調整の時期は、本当に大変です!」
Q.生徒や保護者の方と直接関わる機会はありますか?
山田さん「基本的には、遅刻や欠席の連絡、忘れ物をした時や、各種証明書の発行、学校祭の経費関連などで関わることがあります。ただ、主なやり取りの相手は先生や教育局、業者さんになるので、生徒のみなさんと普段から深く関わる機会はそれほど多くありません。就学支援金の手続きや部活動の物品調達、日々の机・椅子・カーテンなどの管理などを通して、生徒のみなさんが安心して学べる環境を整えています。」
Q.連絡の受付などで、多感な時期である高校生を相手にするからこそ、意識していることはありますか?
山田さん「生徒のみなさんにとって『怖くない事務室』であることを意識しています。また、時には地域の方から生徒たちのマナーについてお電話をいただくこともあります。そういったお電話を最初に受けるのは私たち事務職員です。学校の最初の窓口『学校の顔』として良い印象を持っていただけるよう、丁寧な対応を意識しています。」
山田さんが語ってくれた「怖くない事務室」という言葉。実際に取材で訪れた事務室はとても温かい雰囲気に満ちていて、その想いがそのまま形になっていることを肌で感じました。

未来の後輩たちへ。
学生時代にやっておくべきこと。
最後に、私たちへのメッセージをいただきました。
Q.学生のうちにやっておいた方がいいこと、伝えたいメッセージをお願いします。
山田さん「学生のうちは、色々なことに興味・関心を持つことがとても大切だと思います。案外、身近な小さな興味が、将来の職業に繋がっていくかもしれません。社会人になると、学生の長期休みのような、まとまった自由な時間はなかなか取れなくなってしまいます。今のうちにいろいろな経験をしてください。
最後に、北海道の教育行政はとてもやりがいのある仕事です。ぜひみなさんも一緒に働いてみませんか?このインタビューを通して、少しでも教育行政の仕事に興味を持っていただけたらうれしいです。」

取材を終えて
学校事務の仕事に対して、取材前はどこか堅い印象を抱いていました。
しかし、取材当日に事務室に一歩足を踏み入れると、その先入観は一瞬で吹き飛びました。取材当日は多忙な時期だったにもかかわらず、事務室のみなさんは和気あいあいと楽しそうにお仕事をされており、私たち取材班を本当に温かく迎え入れてくれたのです。学校事務の仕組みをよく知らない私に合わせて、山田さんがわかりやすく、フランクにお話ししてくださったことも、とても印象的でした。
それだけでなく、ほかの事務職員の先輩も、事前に送付していた私の取材シートに対して丁寧にアンサーを用意してくださるなど、とても親切に対応していただきました。学生生活の話や、福利厚生、お給料のお話まで、個人的な質問にも親身に答えてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。北海道札幌白石高等学校のみなさま、本当にありがとうございました。
今回の取材を通して、学校事務職員は学校運営を支える重要な存在であり、生徒や教員が安心して学校生活を送るために欠かせない役割を担っていることを学びました。この記事が、学校事務や教育行政に興味を持つきっかけとなれば幸いです。

